星降る屋台。
朝日屋
長崎の屋台と言ってもピンとくる人は少ない。
名が通っているものといえば、浦上駅前の屋台。
時々寄るといえば、お諏訪さん下の便所屋台。
長崎はそれほど屋台が似合う街じゃない。
たぶん、どこかがアジア的ではないからだろう。
たとえば博多がどれほど都市化しようと
強くアジアを感じる。
なのに長崎は何だかどこかが違う。
地霊が違うのだろう。
いや、その、めんどくさい話がいやなので、
空き地が少ないから屋台が似合わないことにしておこう。
その方が話もうまくつながる。
片側二車線の国道が延び
赤いテールランプを流して車が連なる長崎駅近くの空間だ。
そしてそこにくだんの屋台が忽然とある。
忽然とだ。
スプロール化現象の奇跡。
はじめて案内されたとき、異界に紛れ込んだかのようだった。
まるで環境芸術家クリストが包囲したかのような空間に
これまたインスタレーションを思わせる屋台が
ポツンと置かれている。
そして「ラーメン」と書かれた赤い提灯。
現代アートシーンに多少興味がある人なら泣いて喜ぶ。
こんな屋台が人知れずある奇跡。
実はこの奇跡は、都市の再開発によってもたらされた。
工事完了までのわずかな期間、
この屋台はこの佇まいを許されているのだろう。
なんだか、開園時のディズニーランドのような言い草だ。
しばらく通うことになるだろう。