時を自分のものとする
「今が一番幸せ」。晩年の母がよく口にしていた言葉です。この歳になると沁みます。ホントそうだなあ、と。
一番の贅沢って、時間を自分のものにすること。
私を縛るタイムスケジュールなく生きる。これ以上の贅沢ってないよね。
マルチタスクだったころ
マルチタスクって、複数の作業や仕事を同時並行して処理することなんですが、勤務してる頃はこれが必須でした。ちょっと会議に出席して返ってくると決裁文書が層になって重ねられてる。そんな生活の中で、プライベートキャンプ場をつくったり、クリエイターの皆さんにインタビューして楽しんだり、新しいソフトをマスターしたり。
私を縛っていた勤務生活から解放されました。幸せです。
毛沢東の生活
毛沢東って最高権力を手に入れてから、生活リズムがバラバラだったと本で読んだことがあります。好きなときに寝て、好きな時に起きて、だから決裁を受ける部下たちはそのリズムに合わせるのが大変だったと。
で、1日24時間のリズムも徐々にずれてくる。たしか25時間とかそんな感じになってたんじゃなかったかな。これは太古の地球が1日24時間じゃなかったことに起因してるかもと言ってた学者がいたような。
こんなリズムにならないようには気をつけてます。これやってくれているのは定時に食事を出してくれる家人のおかげ。感謝してます。
針の間違った時計

私の部屋はビジネスホテル的に構成してて、枕元にはこんなスヌーピーの底板の付いた時計を置いてます。これは、昔友人との物々交換ゲームで当たったもの。
最近短針のズレがひどくなって、起床して見ても何時なのかよく分からないことがままあるんですよね。困りごとの一つ。
今度、ネジ開けて内部を調整してみようかな。
企画力のたいせつさ
退職して、時を自分のものにした生活を手に入れたとたん、生きる意味を失くして途方に暮れてる人を見かけます。もったいないなあ。
それ、企画力不足なんですよね。自分に向かって進んできたタスクを処理して生きてきた人なんでしょうね。そんな人はどこかに帰属して働いた方が幸せになれると思います。
時を自分のものにした生活を手に入れたら、日々を企画して引き寄せなくっちゃおもしろく生きられないよね。単なるルーチーンじゃだめ。そう思うよ、たぶん。
白井晟一の旧親和銀行本店
長年恋い焦がれてきた建築『旧親和銀行本店』の内部を見学させていただきました。佐世保所在。偉大な白井晟一の代表作です。
今年11月に国の文化審議会で国登録有形文化財に登録すべきとの答申がなされました。
懐霄館

旧親和銀行本店と聞いて最初に頭に浮かぶのはこの懐霄館。電算事務センターとして第3期工事で建てられた44.6mのシンボリックな建物です。表面を被う諫早石が貼られたファサードが威容を誇る長崎県一の建築。
懐霄とは「零(空)を懐かしむ」の意。
後に石の剥落を防ぐためにこのような金属製のボルトで補強がなされています。巨額の予算を投入し保全される銀行当局に頭が下がります。
内部の写真撮影はこちら以外は今回許されていませんでしたが、最上階の展望室は階下の暗の世界に対し、このように明の世界。
設計意匠も凝りに凝っており、素材も大理石や材木等高級素材がふんだんに使われ、調度品も溜息が出るほどのクラシカルで気品に満ちた海外家具が置かれていて、まさに国登録有形文化財にふさわしい建築作品です。
内部の様子はこちらの動画で窺えます。
第1期工事

旧親和銀行本店は、1967年から1975年にかけ3期に分け建設されました。
第1期工事は白井が自ら取り組んだ「原爆堂計画」を基に設計されているといいます。
建設当時はホワイトトラバーチンの八角形キヤンティレバーを、黒御影石の円柱型シャフトが貫いていたといいますが、現在はその上にステンレスパネルが貼られています。
第2期工事
第2期工事ではファサードは丹銅いぶし調ブロンズパネルで覆われました。内部には圧倒的な吹抜空間が施されていました。
これまでの受賞履歴
日本建築学会作品賞(1968年度):親和銀行本店第1期
建築年鑑賞(1968年度):親和銀行本店第1・2期
第11回毎日芸術賞(1969年度):親和銀行本店第1-2期
第36回日本芸術院賞(1980年度):親和銀行本店
闇多き白井晟一

本来、デザインを学んだ白井は初期には上記のような中央公論社の文庫の装丁などを生業としており、建築については現物を観ることによって学び取ったもののようです。
これまでに私は氏の建築として、長崎市の親和銀行大波止支店、静岡市立芹沢銈介美術館、渋谷区立松濤美術館を訪れました。
白井の建築は後期になるほど闇が内部を支配するようになりますが、同時に私は氏のプロフィールに闇を感じています。

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生きてることを楽しもう。座右の銘は荘子の「逍遙遊」。長崎県。


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