長 崎 の 酒 場

 

うどん屋で呑む

とも也



告白しよう。
実は、私は蕎麦よりも、うどんがすきだ。
意を決して書いた。
このことを書くには勇気がいった。
スノッブ、とかね。

でも、どうしてこうなったのかと思う。
なんでだ?
東京に首都があるからか?
考えてみればいい。
蕎麦よりも、うどんの原材料小麦の方が、
豊かな土地に採れる。
なのに、「申し訳ありません」といった感じで、
うどん好きを告白しなきゃいけない状況は何かがおかしい。
まるで1960年代に、マルクスよりもフロイトの方に興味がある
と述べる時のように多くの言葉を重ねなければならない状況。
例えば、粋という虚飾まみれの言葉ごときに騙されて。
例えば、ゲージの鶏よろしくメディアの言いなりに流されて。
蕎麦が嫌いというわけではない。
けれど、うどんの方が好きだ。
う~、すっきりした。
カミングアウトだ。


で、書こう。
長崎に「とも也」といううどん屋がある。
私たちは、ここをもっぱら飲み屋として利用している。
うどん屋で、酒を飲む。
酒ったって焼酎だ。
この店にAセットというやつがある。
ビール1本、おでん2本、小鉢、サバ寿司、うどん。
締めて千百円也。これにキープした焼酎を喰らう。
店内のBGMはジャズだ。



初めてこの店に出会った時、
私は他の店で飲んでる友人を誘ってもう一度ここに来た。
すごくいい店を見つけたから来い、と。
それくらいうまい。
何がか?
第一にうどんだ。
友人を誘った時のセリフも、
「これで四国に行かなくてもいい」だった。
それくらいうまい。

壁に次のように貼ってある。
「湯がいて10分以上経ったうどんは差し上げますので申し出てください」
主人は、
「いやあカトキチの冷凍うどんよりうまく打つのは至難の業です」
と言う。
良心的だ。
そう言う意味でのこの店に興味津々である。
良心的人でも、惰性の中で持ち崩れていくのか。
人間はいかにして腐れていくのか。
この店は今、まだ開店時の志を忘れていない。
でも、こんな人でも、時に流され、ポリシーを薄め、
そして埋没していくのだろうかと?

がんばれ、とも也。
地味だけれども素晴らしく良心的な店だ。

 

 

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