長崎の
キャンプ場

 

大村湾シーカヤック


海の日である。
職場のスタッフ,クリスティーナが帰国することになった。お土産には,モノより想い出。
「どうだい,クリスティーナ。大村湾横断でもしてみるか?」
ということで,大村公園前から艇を出す。

シールドクリームを塗って出発。日差しが強い。彼女はハワイ出身でライフセィバーの免許を持つ。昨夜のお別れパーティーで「長崎で一番の想い出は?」と私が問うと,「壱岐で出場したトライアスロン」と答えた。「じゃあ,シーカヤックに乗ってみるかい?」となった次第。

大村公園から出ると,大村湾の横断は直線距離にしてざっと4㎞。ちょうどいい距離だ。
「今の職場を離れてどこに行くの?」
「数か月間,東南アジアをトレッキングする。タイでスキューバを楽しんで,マレーシアで熱帯雨林を見たい」
この言葉に痛く感動する。日本のどこに「熱帯雨林を見たい」という女性がいる?


それにしても大村湾は,いつもながら穏やかな水面だ。対岸に二つの島が見える。いつも大村側から眺めていた島だ。その二つの島のわずかな間を抜けようと目指す。
艇の上でサンドウィッチを食べる。水は今回一人あたり2リットル飲んだ。


約1時間後,対岸が近まるにつれ,間があいているようにみえていた二つの島の間は,砂嘴になっていることが判明。ではそこに上陸しようということになる。どうも無人島のようだ。蝉とカラスの音が満ちている。島の岸壁沿いに循環していく。

原生林が水辺に枝を伸ばしトンネル状になった下を抜けていく。「アドベンチャーね!」と彼女が声を上げる。水が意外なほどに澄んでいた。


砂嘴に上陸。砂嘴の上は貝殻で一杯だ。
みると木陰に小さな建物がある。近づいてみると,真珠の核を入れ込む作業小屋だった。


「見せてもらっていいですか?」
「ん?いいよ。どこから来た?」
「舟を漕いで大村からです」
「おお,さっき少し見えとった」
オヤジさんは,丁寧に説明したあと,クリスティーナの手に真珠を二粒乗せて「持っていきな」と言った。
粋なオヤジさんである。


小屋の横は,すぐ島の裏手に出てそこには貝の養殖用イカダが浮いていた。なんだかトロピカル。
イカダにいた5人ぐらいのオヤジさん,オバさんと話をする。
まあ,みんな聞くな,「どこから来た?」と。小さな孤島に突然,外国人が現れりゃ,そりゃみんな同じこと聞くな。屈託のなさに疲れがとれる。


いつも眺めている対岸には,誰だって漫然といろいろな想像を巡らしている。今日はそんな山の彼方に行った日となった。そして彼女も,私たちの歳にはもはや遠い逍遥の旅に出る。達者で暮らせよ。

 


 

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