アクアミューズに乗る
4月末、陽光うららかな朝、じだらく氏に電話。
「アクアミューズに乗せてくれない?」
「あ、いいですね。行ってみますか」
ということで話が決まる。
じだらく氏が、帆が張れるボート「アクアミューズ」を所有していらっしゃることは、かねてより存じていたが、乗船するのは始めて。楽しみだ。
近くの川から乗りだし、海へと出でる算段。
10時ぐらいに出発!
日差し暑からず、寒からず。風もまた最適。春や春、春爛漫の花の色。
漕ぎ出す顔にも、笑みが漏れる。橋をくぐって行こうよ♪
注:以後刻々と変化するじだらく氏の表情にご注目下さい。
三つの橋をくぐって海へと向かう。この上は高速道路だ。こんなアングルで見上げる高速道路も一興。川から望む両岸も、笑っているように感じる。
じだらく氏 「いやあ、僕も久しぶりなんですよ。ここに越してきてから、始めて。操船も詳しい事は忘れましたが、まあいいでしょう」
こんな竹が河口に転々と立ててある。
「なんだろう、これは」
「多分浅瀬があるんでしょうね」
「ま、このボートだったら、大勢に影響はないでしょうね」
と言う事で、竹の向こうのエリアに入っていった。
橋をくぐり終わって、マストを改めて立てる。風が出てきた。船がグラリと大きく傾く。トトトッ!危ない。ズッズズズズ・・・・「あれっ!いかん、浅瀬で船底がこすれている」ガゴゴゴゴ・・・・「あああ、いかんいかん」ボッ!ゴッ!ギガガガガガッ!
ご説明します。写真は、突風にあおられたマストが、じだらく氏の脳天を直撃するの図。言うときますが、一度ではありません。ビュ、ビュー、バタ、ゴン! ビュービュー、バタバタ、ゴゴン! ブブブビュー! バッタバアッタ! ズゴゴゴゴゴゴン!!!
で、この顔。
舟の底はゴリゴリ擦るわ、脳天・顔面はマストで連打されるわで、思考停止中のじだらく氏。私は風上に座っていたために、難を逃れました。じだらく氏に合掌。
で、極めつけがこれだ。
広い河口のど真ん中で座礁。
「降りて押しましょう」
ということでボートの外へ。しばらく押して進んだところが地獄。底無し沼のように足が沈みはじめる。右足を抜く。左足が沈む。左足を抜く。右足が沈む。こ、こりゃいかん。ほうほうの体でボートに乗りこむ。そんなこんなで、2時間ぐらい同じ場所をぐるぐる回っていた。 「まるで、俺の人生みたい」
ケッ! 見きりをつけてマストをたたむ。漕ぐ漕ぐ。
うーい。出た出た。結局、アクアミューズが風を受け順調に走ったのは、3分ぐらいが2回。あとはずっとドタバタどたばたしていた。
よくぞ難関を抜けました、ということでシャンパンを開ける。
いやあ、なかなか味あおうとしても、味あえないスリリングな体験を満喫した一日となった。