2008年4月
私たちは一番大切なことを言わずに暮らしている
FMBarでクリエイターの方々からお話を伺って、一番最後に「ご専門のこんなお話をなさる機会はありますか?」と質問しますと、ほとんどの方が「ない」とお応えになります。「こんなにじっくりと話し込める機会がなかった」と。もったいないことです。私たちの人生はともすれば一番大切なことだけを言わずに暮らしているような気がします。クリエイターの方々がその内部にストックされた思いは、お聴きすることによって言語化されていっていることがわかり聴いている方も楽しくなるものです。
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦
昨夜、文化庁メディア芸術祭アニメ部門大賞という評判をきいて映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』をDVDレンタルし、息子と観ました。寝ました。夜半起きだし『オール・アバウト・マイ・マザー』を観ました。こちらは最後まで。成熟社会の矮小さ。この映画がいいと思えるほど、不幸な時代がわが国にも到来するのでしょうか。朝が開けて、なんともかともなゴールデンウィークのはじまり。
クラテッロを食べる夜
小粋なパーティに参加させていただきました。「クラテッロを食べる夜」 極上の生ハムを丸のまま仕入れ、それを最高の演出でサーブしていただいたパーティ。生ハムの名はクラテッロ・ディ・ジベッロ。そしてこれに春野菜のサラダ、パスタ。クラテッロとワインに関しては卸価格、料理も最低限の上乗せでのスペシャルエディション。主催は我らがしんのじ氏。さらに会場となった「トラットリア・ウーゴ」の吉田シェフとそのお友達の実に粋なパーティでした。ご一緒させていただいた方々も人間味溢れる方々ばかり。極上の一夜に感謝。
上野千鶴子と松井冬子
昨夜風呂上がりにテレビをつけると、東大教授上野千鶴子が話しているところでした。彼女は画家と対談していたのですが、その画家本人の作品の意味を上から目線でなんと本人に解説していました。画家の名前は松井冬子。画家松井が途中から「あなたに何がわかるの?」という目線を軽く上野に送っていたのが印象的でした。言語化される内容など、画家にとっては薄っぺらなことにすぎないのです。言葉にしてしまって絵画を理解したかのような傲慢さが上野にはありました。えてして絵を描けない評論家ほど、この手の愚かさを露呈させるものです。
宮崎
宮崎から帰ってきました。にわしさん、突然付き合ってもらってありがとうございました。
宮崎神宮の鎮守の森にある古民家。かつての家屋の闇の領分が改めて心に染みました。東西を問わず暗かったのですね、家屋内は。そして雪深い冬の寒さに耐えるために、家の中で囲炉裏というかたちで火を燃やしていたわけです。
フィンランドでは最近まで出産をおこなう場とするほど、サウナは神聖視されているといいます。古いスタイルのサウナは、スモークサウナといって煙で燻して温度上昇させるもの。実は北欧の厳しい寒さの中、家そのものがサウナだったのです。椎原の山奥なども似たような状況だったのでしょう。
相田みつを
黒糖庵氏が相田みつをに関して次のような指摘をしています。「相田氏の言葉がダメ人間のひらきなおりにしか見えないのは私だけでしょうか」
この感覚に私も共感をおぼえます。彼自身というよりも、昨今の相田氏のとりあげ方にいささか違和感を感じているのです。「相田みつを美術館」サイト全体から伝わってくる軽いノリは、この違和感を象徴していると思います。本人が苦悶の中で否定していたであろうことを、この美術館はやらかしています。これじゃまるで鶴太郎です。みっともない。
広告代理店が政府系エージェントとして動く
広告代理店やリクルートなどが政府系エージェントとして動くことが、昨今一層目立ってきていると感じています。東京の某学校で2年間だけ校長をして去っていく人物の動きをみていますと、彼らの言動は一人の人間としての発言ではなく、請け負ったものなのだと思うわけです。
一方ですすむ地方分権の流れに対し、中央が立場上は非公式に送り込むエージェントというところ。
ピンクフロイドのポンペイ・ライブ
私が高校生だった頃、NHKで『ヤング・ミュージック・ショー』という番組があって、ここでピンクフロイドのポンペイ・ライブをやってました。ピンクフロイドの曲の中では『エコーズ』が傑出した作品だと思っていまして、この曲をここで演奏していました。感想は「失望」の一言。まあ酷い演奏です。ドラム担当のニック・メイソンなんてもうボロボロです。ピンクフロイドはスタジオダビング音源に限るというのが青年期の私に刻まれたものとなりました。
で、今日、そのポンペイライブの画像がありました。懐かしい。久しぶりに聴いてみて、青年の私の目は確かだったんだなと確信しました。いやあ、ほんとうに酷い演奏です。
メディオロジーとは
「メディオロジーとは」を読んでいただけましたか?ちょっとめんどくさい口調なんで、あれなんですが、いいですよ、これ。例えばこんなことが書いてあります。「地球上全体の人類がひとつの「器官」さらにはひとつの総体的な「脳」として機能するような時代への飛躍がそこにはあります」 どうでしょう? 「おっ」と思われた方もいらっしゃるんじゃないかな。こんなのはどうでしょう。
「イエスは、ナザレのイエスでしかなかったのが、徐々に、とりわけローマにおいて、それを受け入れる者たちの特定の文化カテゴリーによる解釈のなかで、キリストとそのことばが発明された」 ほーら、面白いことが書いてあるでしょう?
こんなのはどうかな。「哲学は、技術を考えてこなかった、軽視してきた」 あるいは 「プラトンが、なぜ文字(エクリチュール)を批判するのかという点はひとつの謎です。この謎に対するひとつの解釈として、プラトンが批判の標的にしていたのは、当時流通を拡大し始めた書物なのである、とする説があります。当時、公衆との対話といった慣習的な拘束がない書物は、非社会的なものと見なされていた」
おおっ?!と思われた方はご一読を。たぶん、これ読んでおくと今後の世界の動きは理解しやすいと思うのですが、いかがでしょう。日曜日ですし、今のうちに。→「メディオロジーとは」
イメージが論理を駆逐している
「イメージが論理を駆逐している」(レジス・ドゥブレ)。「えらいこっちゃー」「いけないこっちゃー」で終わっていくキャッチコピー化した報道は、人々に思考停止をもたらします。実際、チベットの歴史を理解している人がどれだけいるか。さ、これから世界にやって来る事態を理解するために、次の二つのことを頭に入れておきましょう。クリック・イッ!
北京オリンピック聖火がもたらす影響
日々流される北京オリンピックの聖火リレーのニュース映像はこれと同じ効果をもたらし、世界を変えるでしょう。Matt君は世界各地をまわりダンス映像をとっていた現場では、周囲の人の胡散臭いものを見る目に晒されていたでしょう。けれどそれが世界各地に飛び、積み重ねられることによって、我々のイメージは特化します。陽気なダンスは天使の陽気さをまとうが如く見え始め、忌まれる聖火は魔性の悪名を纏い始めるでしょう。世界中の多くの人々の心に成長し始めたイメージはシンクロし始め、我々が体験したことにない状況を世界にもたらすでしょう。1989年に突風のように伝播した東欧革命は、テレビがもたらしたものとも言われています。近隣国で発生した反乱が即座に伝わることによって、東欧の政治体制に激震が走ったのです。
今回、北京オリンピック聖火がもたらす影響は、多分世界中の人々が予想しているよりも大きな変化をもたらすでしょう。何故ならば、これほどワールドワイドに、固定したイメージが、世界各所で繰り返され報道し続けられることは、世界史上初めてのことだからです。
こうして世界は、北京オリンピックの大会スローガン「ひとつの世界、ひとつの夢」を観ることになるのです。
Matt Harding
Matt Harding という青年が世界各地でダンスをする動画をご存じですか?1箇所4秒程で各地の風景を背に、上手とは言えないダンスを青年が続けます。「なんだこりゃ」 映像が始まったとき、そう思いました。ところがです。世界各地でのダンスが重ねられて行くにつれ、得も言われぬ感動が深いところから湧き上がってくるのを感じるのです。我々人間の内で成長するイメージはそういう特性を持っています。ぜひその動画をご覧ください。続きはその後に。
花まつり
今日4月8日は花まつり。釈迦の誕生を祝う行事で、正式には灌仏会(かんぶつえ)といいます。街を歩いていましたら、テントが出ていましてお釈迦さまがいらっしゃいましたので、お賽銭をあげてお参りしましたら、甘茶をいただきました。春の到来とお釈迦様の誕生日。すがしい季節とともにある日です。仏教界がこのように積極的に世俗の通りに出て様々なことに取り組まれることは、生きる意味を人々が問い始めた成熟社会にとってはとても大切なことだと思います。
定期券を持ったことがない
持ったことがないものの中に、定期券があります。定期券はついぞ持たぬままに生きてきました。定期の券。う~いい。私をご存じの方はよくお分かりのとおり、私は決まり切ったことを繰り返すのが苦手です。退屈極まりないという以上に、苦痛です。仕事にしても、前任者のノウハウをほとんど見ないで組み立てていきます。それが無性に楽しい。で、定期券の話。決まり切ったコースを、決まり切ったように通うのはもったいない。ですから朝、小銭を持ってバスに乗り込みます。で、気の向いたところで降りて、そこから職場までウォーキングを楽しむわけです。通ったことのないコースを見つけるのは楽しいものです。
MD壊れる
インタビュー収録用に使っていたMDがついに壊れました。ウォークマン型のMDの出始め機種にあたるこの機械は、1995年ぐらいに購入しました。いろんなところで活躍してくれましたが、さすがにダウンです。で、これに替わる録音機を求めて世を眺めてみますと、いやあ隔世の感がありますね。MD、DATの時代を経て、ICレコーダーそしてPCMレコーダー。まそのよく分からないんですが(笑)、録音機を巡る状況は激変しています。
結局、ローランドのR-09HRにしました。求めた条件は、おおげさでないこと、取扱いが簡単なこと、そして高音質であること。インタビューには最初の条件である「おおげさでないこと」は、緊張感なく話していただくにとても大切な要素だと思っています。
インタビューアップ
今回のゲストは、世界一に輝くナイフ作家 松崎猛氏。重厚な刀剣愛好界にあたるカスタムナイフの世界をお伺いしました。松崎氏のカスタムナイフ展が、この4月中カフェ豆ちゃんで開催中です。