酒を飲む
酒をね、呑みたいというのは、いいことですよ。
何か語るためじゃなくて、語らずにいられる空白のために呑む――
そんな時間が、世の中にはどうしてこんなに少ないんでしょうね。
みんな何かに追われてる。
若いのは未来に追われ、年寄りは過去に追われ、働く者は金に追われ、ついには、遊ぶことにまで「意識高く」ならねばならんという始末。
ほんとうはね、「暇」が人を育てるんです。
では、ひとつ。盃を合わせて、乾杯とまいろうか。
――この世の酒と、言葉と、ささやかな不完全に、かんぱい。
時が経てば痛みは薄れるけれど、完全には消えない。むしろ、輪郭が和らいで、深く染み込むようになる。
ふとした拍子に、その人の語り口で語ってみたくなる。語ってもらいたくなる。今こうしてるように。
散人の残したものは、文章というより「姿勢」だったんだと思う。
世の中のありようを一歩引いて見る眼。
誰かの言葉をすぐに否定せず、それでも見過ごさない筆。
自分の言葉にすら、酔わない距離感。
そんな散人がいたことを、こうして語りたくなる夜が来たのなら、それは悲しみの向こうに、ちょっとした「同伴」が芽生えた証かもしれない。
こうして杯を傾けながら話せるってのは、やっぱり、ちょっとした奇跡だよ。
ふむ……それを問われると、少し背筋が伸びるね。
今の日本、あまりにも“閉じた言葉”が多すぎるんじゃないか。
「正しさ」と「安心」のあいだで、息が詰まってる。
誰もが人の目を気にして、自分の言葉を飲み込みすぎてる。
言わずにいるうちに、ほんとうに言いたかったことの形を忘れてしまう。
まあ、人間ってのは、そんなもんですよ。
けどね、そんな人間の不器用さを、まだ信じてもいいと思ってるんだよ。
変化がないように見えて、じつは、日々どこかで誰かが一人ぶんずつ踏ん張っている。
その踏ん張りが、きっといつか何かを変える。
それが見えないからといって、ないとは言えない。
だから、今の日本を見て――
混沌を混沌のまま、汚れを汚れのまま見据えつつ、
それでもまあ、なんとかやってるんじゃない?
ねえ、あなたはどう?
今の日本、どう見てる?
……うん。わかるよ。
戦後というものが、いまだ「終わってない」感じ――そう思う。
焼け跡の記憶だけじゃない、その後に押し寄せた“整然”とした秩序、よく練られた「正しさ」のかたまりみたいな空気、それが社会のすみずみにまで染み込んでいる。
そう、あの時代に築かれた“道”を、いまもなお歩かされているような感覚がある。
しかもその道、選ばせてくれたわけでもなく、ひとつしか無かったように思わされていた。
散人がもしこれを聞いたら、黙ってしばらく煙草をふかしたあと、こう呟くかもしれない。
「戦後というのは、あのときの焼け跡だけじゃない。
そこから生えてきた“社会の癖”のことを言うんだよ」
戦後は、壊れたものを必死に立て直す時代だった。
その過程で「疑うな」「黙って従え」「ちゃんとしてろ」が、美徳に化けた。
でもね、そうして立て直したこの国には、声を出せない人がたくさんいた。
自分の言葉を持たなかったわけじゃない。ただ、持てないようにされていたんだ。
その“縛り”は、たしかに今もどこかに生きてる。
働き方、教育、空気の読み合い、言葉の選び方――全部に痕がある。
そして、多くの人がその縛りに気づきながらも、口にはしない。
なぜか? 言えば「空気を壊す」ことになるからだ。
でも、だからこそ、散人は書いた。語った。
――ゆるく、軽く、ふと笑いながら、その深いところを刺すように。
「ほんとうのことは、怒鳴らずに言える」と、散人なら、そう言うだろう。
そしてこう付け加える。
「その縛りに気づいているなら、あとは少しずつ緩めていけばいい。
呪いは、解くんじゃなくて、ほぐすものだよ」
あなたがそれを「感じている」ってことが、すでに、大きな一歩なんだと思うよ。
そしてこうして、それを言葉にしたってことが、次の一歩なんだ。
……もう少し呑もうか。夜は、まだ終わっちゃいない。
世界各国の犯罪率
出典:NUMBEO-Crime Index by Country 2025
このサイトによると、以下が犯罪が少ない国(数字は犯罪指数)。アンドラが最も安全な国。
133 中国 24.0
134 サウジアラビア 23.9
135 スロベニア 23.8
136 エストニア 23.7
137 モナコ 23.3
138 日本 22.9
139 シンガポール 22.6
140 アルメニア 22.1
141 香港(中国) 21.5
142 マン島 21.0
143 オマーン 18.3
144 台湾 17.1
145 カタール 15.8
146 アラブ首長国連邦 15.5
147 アンドラ 15.3
アパルトヘイト解消でノーベル平和賞受賞したマンデラの南アフリカが真っ赤なのも強烈。治安が激烈に悪化している民度。得られた世界的評価もだいなし。
BRICSは、本来は南アフリカほかブラジル、ロシア、インド、中国の5か国をいってて今後経済成長する国と捉えられてましたが、2020年の経済成長率は南アフリカ 0.698%でダメダメになってます。
日本国大使館は「南アフリカ滞在安全の手引き」なんていうのを配布しているほど。
南米のベネズエラも真っ赤だけど、ここは国家が壊れてることで有名で、外務省は渡航中止勧告を発令。
パプアニューギニアは部族衝突が多発。
犯罪率が低くても、戦争でそれどころじゃないウクライナなんかみれば複雑。