大塚国際美術館
3日間の休暇が手に入りました。目的地として定めたのは大塚国際美術館のみ。前後はホテルライフ。結果、ほぼ終日この館内を巡っていました。結論から書きます。すばらしい。美術愛好者ならば訪れられることをお勧めします。
陶板で再現された西洋美術の至宝とも言うべき作品が約1,000点。一山くり抜いて造られた美術館の鑑賞ルート全4㎞。実物大で再現された巨大西洋美術全集だと思ってください。
もし「本物を観なけりゃはじまらないよ」という人がいたら、「じゃあ、美術全集なんて観たってはじまりゃしないって君は言うんだね」と返そうと思います。本物に接しないと芸術的感性が磨かれないのならエコールドパリなど一世を風靡した芸術家は生まれていません。
ミケランジェロの『最後の審判』
入館して最初に目に飛び込んできますのがシスティナ礼拝堂。言わずと知れたミケランジェロの『最後の審判』です。四方八方から包囲され鑑賞する圧倒的空間。開館時間の9時半とほぼ同時に入館しましたので、ほとんど人気のない状態でゆったりとこの贅沢な空間が独占できました。私はベンチに寝っ転がって天井画を長いこと観ていました。なんて贅沢な。実際のシスティナ礼拝堂で1時間近く寝転がっていることなどできません。接近した鑑賞もできて、『最後の審判』の下方はこんな風に漫画タッチ。
ジョット
最も感銘を受けました
今回、最もまいったのはジョット。鑑賞全ルートは4㎞あるので、当初はルネサンス期は別にしても、古代から中世までは流そうと思っていました。ところがどっこいその辺りが実によかったんです。ジョットのスクロヴェーニ礼拝堂の素晴らしさ。ジョット・ブルー。私は全く分かっていませんでした。
ジョットで画像検索するとこんな感じ(クリック)で絵画が一枚ずつ紹介されます。これが元凶。ご存じのとおり近代以前、絵画は建物と表裏一体の存在とされていましたので、その空間が再現された大塚国際美術館の展示法は染み入るような理解を私たちに与えてくれます。なんと上質な空間。現代人にも十分通じるエレガントさと純粋さがそこにありました。
大塚国際美術館のすばらしさと限界
実直な個人的所感を書きます。
大塚国際美術館のすばらしさ
1.盆と正月が一緒に来たような豪華な作品群。古代から現代まで、西洋絵画と聞いて想起する作家はほぼあります。なかったのは、ミュシャ、マグリット、マチス、ワイエス、ベーコンぐらいかな。
2.一堂に集められているため関係性がよく理解できます。クリムトを知っている方なら、ギリシア美術や中世イコンとの関係を改めて深く思い知ることができます。
3.実物大展示や空間再現というかたちが、気付いていなかったことを教えてくれます。
4.長い長い展示の〆がレンブラントの自画像だけを集めた展示室。拍手喝采。私が神のごとき筆致の画家と崇めるレンブラントで終わっていて「そのとおり」と。
5.これら作品の写真撮り放題。自分の愛する作品と共に写真に収まることができます。さながら美術愛好家の巨大プリクラセンターです。
大塚国際美術館の限界
次のような限界はあります。
1.色彩再現がうまくいっていない作品もあります。たとえば、モネやクリムトなど作品によっては違和感を覚えられるでしょう。
2.細部の凝視には対応できません。たとえば、ボッティチェリの『春』に描かれた草花の筆遣いを見ようとしてもできません。これは求めること自体が無理かな。グーグル・アートプロジェクトの方がうまくいっています。
訪れる際のコツ
- ボランティアガイド率いる御一行で廻らない。修学旅行で京都の街を巡ったときのようになります。つまり作品に浸った鑑賞ができない。超初心者ならばお勧めです。
- 終日時間をとっていく。行けば分かります。
- 美術愛好家でない人とは一緒に行かない。行くにしても、飽きたら先にホテルに帰っていてもらうよう約束してスタートする。
- 食事は天候さえ許せばモネの睡蓮があるところがお勧めです。
大塚国際美術館をストリートビューで巡る
美術館内部を一部分ストリートビューで巡ることができます。上写真をクリックしますと、入口の長いエスカレーターが出てきますので、これを上って行ってください。システィナ礼拝堂が登場しますよ。システィナ礼拝堂内部に入るにはこちらをクリック。
ホテル
わが家の覚え書きとしても記しておくことにします。これって忘れちゃうんだよねぇ。
リゾートホテル モアナコースト
ルネッサンスリゾート鳴門
アオアヲナルトリゾートに替わっているみたい。