1998年6月
文化とはタブーである
アルゼンチン,ヨルダンの両国からいらした方とお話をする機会がありました。
ハイパーインフレーションの頃のアルゼンチンでは,強盗も冷蔵庫に直行していたとのこと。なるほど。
ヨルダンの方は生まれ故郷がパレスティナ。多々考えさせられるものがありました。そして自分自身,日本人としての特性を痛感しました。文化とはタブーであると誰かが言っていました。ネットによる交流も魅力的ですが,実際に会うということ,その力強さも再認させられた一時でした。
眠るのには体力がいる
眠るのには,体力がいります。用もないのに朝から目が覚める。ああ,目が覚めてしまった,と思います。そこでやおらネットにいるわけです。あと20年もすると,早朝のテレホーダイタイムは老人利用が集中することでしょう。
自分がやれ
ワールドカップ日本代表選手団を批判するなら,自分がやれといいたいですよね,サポーターとよばれている応援団の連中。フランスに応援に行ってた日本人の何割が,5年前からサッカーに入れ込んでいたのかと考えると,鼻白むと思いませんか。
「知ってる」ということと,「できる」ってことの間には,雲泥の差があるのです。選手団たちはわかった上で,血反吐をはいてギリギリのところでやってる。マスコミを旗振りにして外野が,どーたらこーたら言っている。
代表に漏れたサッカー界の連中の論評には,説得力を感じません。油の使い方も知らぬ美術評論家たちの論評,ギターのチューニングさえできないやつの音楽論。所詮,炎天下の海で働く漁師を,リゾートホテルの窓越しに見て論評するような行為。そこまで入れ込む時間と熱情があるのならば,自分が挑めばいいのです。あらゆる創造行為は,批評という単なるテクストの羅列を越えたもの。
日本のツブし方
ほらほら,ニュースがアメリカの景気の話を書き始めましたよ。きてます。
日本円の実力は,1ドル=180~200円。これは80年代から言われていたことなのです(これを購買力平価といいます)。
- 一旦意図的に円高にし,力技でキープする(85年プラザ合意)。
- このため日本産業が経営体質をより海外依存型に変わる
- 変わりきったところで,元の実力のレートに円を戻す(現在)!
カズの代表落ちについて
経済評論家がしたり顔で,「いやあ,カズが落ちたことは,終身雇用制型から能力主義のスタイルへと変わってきていることの象徴ですな。野茂がドジャースから出されたのもそう。これはサラリーマンも同じ事で」と宣っております。
困ったものです。
高額所得者と一般庶民。同じグランドで話す神経が,困ったものです。
カズや野茂の給料を考えていただきたい。あれだけの額をもらって勝てなかったら,同情でおいておくことはできません。
ビッグ・バン
ビッグ・バンとやら。理解している人が,この国に何人いるでしょう。「ビッグバンで日本は欧米並の国になる」と経済評論家はいいます。お抱え評論家どもが(苦笑)。
EUの平均失業率は10パーセント。最近,日本は失業率3パーセントから4.1パーセントになったと大騒ぎ。なるほど日本は着実にビッグバンのお陰で欧米に近づいています。欧米並に能力主義に会社経営が変わるとか。これで国民の老後の心配がなくなればいいですが。
(ホワイトカラーについて,EUも終身雇用制・年功序列型賃金体系になっていると専門家たちは言っていますので念のため。参照:「文芸春秋」1998.6)
「欧米並の国になる」という言葉を聞いたとき,「いい国になる」という風に感じる日本人が多いことをついた,見事なキャッチコピーのなせる技でした。
映画タイタニックと雲仙災害
映画「タイタニック」。体験した雲仙災害の頃のことを重ねて見てしまいます。「そうそう」とか,「そんなにはならないよ」とかですね。沈みはじめても人の反応は鈍い
「そうそう」と思った箇所は,船が沈み始めてもしばらく船客の反応が鈍いでしょう。そうなんですねえ。人間は,非常時になっても日常性に執着するんです。
逆に「そんなにはならないよ」と思った箇所は,最後の大パニックシーン。あのころ島原では,山体崩壊さえ囁かれていました。ある日,車を運転しているとき,ラジオの放送が突然途切れて臨時ニュースが流れました。「皆,家の中に行ってじっとしているように」という旨のニュースでした。山体崩壊が頭に浮かびました。それがあれば命はありません。一斉に周りの車がUターンし島原を離れる方向に向かいました。けれど脇道から出てくる車があると,皆譲ってそれを入れてやっていたのです。
もう一度書きます。道は秩序の中にあり,譲り合いがそこここにみられたのです。あの光景を誇りに思います。
明日死ぬと言われても秩序の中にある
子供の頃,もし明日死ぬと言われたら滅茶苦茶やって死ぬんだろうなと思ってました。でもそれは違います。私はそう思います。それまでとあまり違わない日を送るものなのだと思います。あの頃の島原にいた時,頭の片隅にいつも「もしかしたら今日死ぬのかもしれない」という気持ちが,薄くありました。かなりの人がそうだったと思います。けれど,あの街の人たちは秩序の中にあったのです。それを誇りに思います。そんなことが頭の中に浮かんできて,どうも映画自体に入っていけませんでした。
でも,デカプリオはいい役者ですね。テレビで騒いでいるのをみててもぴんときませんでしたが,作品をみるとなるほどと。彼があの映画をしょってましたね。
肋骨にヒビ
肋骨にヒビがいってました。病院に行ってレントゲンを撮ったら,そう告げられたのです。なるほど痛かったはず。自転車で職場通勤しています。2週間前に自転車のハンドルで脇腹をしたたか打ちました。最初はなんということもなし。10日ぐらいしてから痛くなって,もしかしたらヒビが入ったかと頭をかすめはしたのですが,まあ病院にいっても「はい,安静にしておいてください」と言われ,レントゲン線を浴びるだけ損だと思って放っておいたのです。そうしましたら,昨日呼吸がつらいほど痛み出しました。こりゃいかんと,病院にいってみたら,案の定でした。
みなさん,骨にヒビが入ったときは,病院にいきましょう。コルセット(というんでしょうか?)で固定すると楽ですよ。痛みが軽減します。おかげで私は久々にやたら姿勢のいい生活をしております。