2004年10月
2004_10_31
月に見とれる
大きな双眼鏡で月をうっとりと見ていました。特にクレーターが美しい。
もともと現在の十分の一しかなかった原始地球が、火星大の原始惑星との衝突を繰り返して現在の大きさになったという説もすなおにうなずいてしまいますね。
2004_10_24里山美食倶楽部 再び
秋も深まったとある夜。
美食倶楽部、再び。
華麗なる宴。ふっふっふ。
こちらから行こう。
「レーズンくるみいちぢくパン、ベリーAリュスティック、和三盆シフォン、栗風味パウンドケーキ、よもぎクッキー」
むくつけき野遊びの世界に吹く、艶やかな新風。読者の方々もどうなっとるんだと思っておられることだろう。しんのじ氏のご登場以来、文明開化が続いているのである。これらの心込められて焼かれた手作りのパン等は、なんと東京にお住まいの女性mayu氏から送られてきた。
ふっふっふ、ふっふっふ、ふっふっふ、ふっふっふ。ありがとう。ありがとね。こみあげる喜び。サイト運営していてよかった。しみじみとランタンの灯を見ながら、パンを頂く。
なんと彼女は空気中の菌から育てた自家製天然酵母を使って、パンを焼いてらっしゃる。私が一番好きだった「栗風味パウンドケーキ」は次のような材料。「発酵バター、喜界島きび糖、全粒粉(国産石臼挽き)、南部地粉、平飼卵(抗生剤フリー)、フランス産くりペースト(添加物なし)。ベーキンブパウダーなし。
いいぞ、ベーカーシェフmayu!
「ほっぺた落ちますね。こりゃ、通販ベーカリーすりゃブームになる」「りっぱな酒のつまみにもなりまね」
どれどれと九州は漆黒の里山から、東京のmayu氏に電話をかける。まだ会ったことのない方との会話。思わず正装の声になる私。mayu氏の声は送られてきたパンのように飾らず、こくのあるものだった。
次これ行ってみよう。
「ピーマンの挽肉詰めダッジオーブン仕立て」
こってりことこと。どれどれ。おー、うまい。
真打ち登場。
しんのじシェフの今回のメニューは「ソフトベーコン 生ハム風仕立て」。
桜のチップで薫製の微調整をなんどもされる。といっても私たちが目にしたのは、最後の仕上げの段階のところだけだ。それ以前の下ごしらえがスゴイ。どうすごいかというと、とにかくスゴイ。飲みながら聴いたのだが、忘れている。いや、複雑すぎてよくわからない。スープに浸した後、浸透圧を利用して水分を抜き、えーっと……。
ほれ出来上がった。
みんな、いい笑顔している。実は美食倶楽部の時は、いつもみんなニコニコしている。というか今回も、わーわー言っていた。
いいですか、いい大人が素でわーわー言う。どんな芸術が、大人をそれほど大騒ぎさせることができるだろうか。そう考えると、料理というものの持つ底知れぬ力を改めて認識する。ああ、愛おしきもの、汝の名は料理。
Yahoo!!の紹介コメント
Yahoo!!の紹介コメントを、やっと実態に近いものに変えてもらうことが出来ました。まあ、つぶれぬ程度で、ゆったり運営いたしてをります。さて今日は仕事さばいて、夜にでも里山いきますか。
2004_10_20鈍行の新幹線
みなさんは、鈍行列車の速度で走る新幹線に乗ったことありますか? 車窓から見える普通道路を行く自動車に抜かれる程度の運航新幹線。
台風。出張。鹿児島の駅で12時に乗車。夜10時。さすがに疲れました。
里山音楽会
黒糖庵氏の作品「風景──月が語るもの」。なんと高さ4m。音楽会のシンボルとして、森の木々の中に屹立。
秋の夜長。
静寂の森に、音解き放とう。
やすらぎ、たゆたい、深く呼吸し、
俗離れた音の結界に入り込もう。
森は私たち、私たちは森。
闇は私たち、光もまた私たち。
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Time : 2004.10.9 p.m.7-
Place : Our Satoyama
Player : Tanaka Akihisa (Jazz pianist)
Stage coordinater : Cocteauan
Food coordinater : Amekonko and Shinnoji
Music Producer : Takibi
Thanks ! Our Brothers
今回ステージコーディネイターをお勤めいただいたのはアーティスト黒糖庵氏。キャンドルアップしたステージは、森の闇の中で幻想的にたゆたう。氏は息子さんと一緒にこのステージを創りあげられた。
プレイヤーはジャズピアニスト田中明亮氏。USAジャズフェステバルに参加した実力者で、バイクを愛し、カヤックを愛するジェントルマンだ。
森の中深くしつらえたステージ。田中氏の紡ぎ出す音楽が、森の静寂の中、漆黒の闇に放たれていく。ワインを傾け、美味しいものをいただき、極上の音楽を10名程で聴く。気の合う仲間、程良い気候、至福の時間。左はダイビングインストラクターのツルタ氏、右は盟友マツナガ氏。
リクエストの一つに「アメイジング・グレイス」をお願いした。私たちは、涙が流れ出して仕方がなかった。娘さんであるあめこんこ氏は、あめふらし氏の黒いダウンジャケットを羽織ってご参加。あめふらし氏も聴いていたことだろう。手前左は今回の音楽プロデュースに当たられた焚き火氏。右は吹きガラス作家一民氏。
一民氏が、つぶやく。「あの頃から、ずいぶん遠いところまで来ましたね」 「そうですね。本当に遠いところまで来た感じがします」 これから里山はどんな風に変わっていくのだろう。これから私たちはどんな風に変わっていくのだろう。
ドイツ在住のアーテイストしげの氏から海を越えて贈られた4本のワイン。このワインでオープニングを乾杯。演奏前の一時で、4本が開く人気だった。
右は一民氏からカバノンに寄贈していただいたグラス。
一民氏作のグラスにワインを注いで、「じゃあ、みなさん、とってください。乾杯しましょう」とお願いした。皆さんがとられた後に、グラスが二つ残った。まるで当為のように。なるほど、一つが山のかんさあの分、もう一つがあめふらしさんの分だ。思わずほほえむ。
宮崎名物ささみの薫製はすみれ氏によるご出資。大閑道人氏が買い求めに行かれ届けていただいた一品。魚の乾物は、さくらんぼう氏からの頂き物だ。
この日の降雨確率は台風の余波で60%。大閑道人氏とさくらんぼう氏にこの雨を止めていただいた。
われらがシェフあめこんこ氏の腕も冴える。彼女は数種類のサラダや、味噌煮込みおでんなどを用意。
もう一人の究極のグルメ人にしてダッチオーブン料理人しんのじ氏もご多忙の中、わざわざ料理のためだけにご来里。氏が登場するとみんながワラワラワラと集まる。今回の料理はローストポーク。
濃密な時間。飾らぬ方々との豊かな会話。
私は娘を連れて行っていた。「人生は楽しいものだよ。大人になることはなかなか捨てたもんじゃないよ。友達を大切にして、努力しときな」 そう教えたかった。そうとも、歳をとることは悪い事ばかりじゃない。大人になることは豊かになることだよ。
子ども達は焚き火の番人だった。私たちを継ぐ者に灯りを託す。
朝、早速焚き火。快い虚脱感。お湯を沸かしてコーヒーをいただく。
朝日の中で見るステージ。雨天用に急遽タープを張っていた。そしてなんと私たちの里山周辺だけ、雨が降った形跡はなかった。
里山美食倶楽部
Yahoo!で「アウトドア料理」と検索すると、私のサイトが出てくるらしい。いやはや申し訳ない。最近は、ずいぶん遠いところまで来てました。
今回はそんな検索でやって来た方達のご期待に応えられるかもしれない。われらが3大シェフのご登場である。
某月某実、我が里山は美食倶楽部とあいなった。今回供された各料理の美味さは、口にした瞬間、「生まれてきてよかった」と涙ぐむほどのもの。ごちそうさまでした。合掌。
まず、これ行ってみよう。しんのじシェフによる「イカ素麺とホタテのキムチ」。こんな一文を頂いていた。「今晩、熟成してきたヤンニョンで漬け込みました。週末が食べ頃と思いますので、土曜の夜には」
そう、食べ頃だった。なんという旨味。
そして、あめこんこシェフによる「ミネストローネ・スープ」。噂のシャトル鍋でのクッキング。保温調理器だ。はじめて食したが、一般の鍋による煮込み料理が、焦げ臭かったんだということが実感としてわかる。本当に焦げ臭さが無く、素材の味がそのまま溶け合ったデリケートな味がする。
ごぞんじじだらく氏。今回はご家族とご一緒に、わんさかカクテル素材をお持ちいただきキープ。プレミアム焼酎「兼八」をキープされたYo3氏はここで所用のため退席。
「ここにはダッジオーブンがありましたよね」しんのじ氏のこの一言が、導線だった。「はい、あります、ありますとも」 以下は、ケイタイでの、しんのじ氏とじだらく氏のファーストコンタクトの会話である。 「申し訳ありませんが、いらっしゃる時に、和牛1キロ買ってきていただけませんか?」「了解」
しんのじ氏が、おもむろに立ち上がりハーブの調合が始まる。
今回、つくづく感じましたのはですね、食い物ミーティングに勝るものはありませんな。クック・オフっていうやつです。
深夜持参された上質牛肉がダッジオーブンに納められ、分単位で計測され熱量が調整される。鉄鍋料理はかほどに繊細なものであったか。いよいよ蓋が開いた瞬間、場にどよめきが走った。
できあがったローストビーフが、なにかの儀式のようにいとおしく切り分けられる。この時、「今日はこれを食ってはいけない」とでも言おうものなら、場が殺気立っていたと思う。冗談ではなく、本当に。
「いかがれふか? 黒糖庵さん」
「おいひいれふ」
「同感れふ」
食べたことのない味だった。一噛み一噛みに、心を込めて。合掌。
しんのじさんのコメント
肉と温度ですが、70-75度くらいでゆっくりと加熱すると、肉の旨味が増す、などとハム関係の本には書いてありますが、確かにその通りですね。また、ローストビーフで、芯までじんわりと熱が通った後の赤~ピンク色の肉は、手早く焼いたステーキの内部の、ホントに火が通っていない赤い部分と全然味が違って、いわゆる「旨味が活性化」した味ですね。私は、肉を焼きます。肉を焼く行為自身に、自分を表現する何かがあるような気がして、塊の肉を焼く魅力にとり憑かれています。肉を焼く匂い、薪や炭の煙、飛び散る火の粉、むせかえる熱気、そのどれもが自分を強くインスパイアしてくれ、憂き世にいることを束の間、忘れます。