2007年2月
2007_02_28
里山映画祭
夕闇の中、炉に炎が上がる。差し入れられたタンカレーNo.10、泡盛古酒、紹興酒等々が封切られる。
森の木にスクリーンが吊され映画『ラウンド・ミッドナイト』の上映が始まる。饗宴の始まりだ。焚き火を見つめながら、よしなしごとをたれて杯をあおり、わははと笑う。心許せる方々との至上の時間。
「この一杯は世界にとって小さな一杯だが、私にとって大きな一杯である」なんぞという、今では知る人も少なくなりつつあるアームストロングの名言の逆が浮かぶ。焚き火のまわりに実存が座して飲む。
ややあって坂の向こうから車のライトが見えた。車内から声があがる。「ちゃんぽん、いかがですかぁ~」
究極のケイタリング。シェフ長の登場だ。度肝を抜かれた。数日間下ごしらえがされた究極のちゃんぽんが振る舞われる。なんと優しく芳醇なスープだ。海原雄山ならそう言うだろう。今回はご夫婦でのご来山。婦人の笑い声に和む。ほら夜空を見てみて。仰ぐと、劇場のセットのように美しくきらめく月と星が、私たちの遙か彼方に浮いていた。
子羊一頭を半分にし網に挟んで石の炉で焼くという豪快な今後のプランに一同圧倒されたところで、キング・オブ・シェフしんのじ氏は春風のように帰宅。合掌。
その後、新たなシェフの登場を我々は見た。Thom氏である。ツバキの花、菜の花、フグ、エビ等々、次々に繰り出される天ぷらの質の高さに一同驚愕。いつも思う。饗宴のスターはシェフだ。
2007_02_26里山道楽 大量枕木の運び入れ
「枕木山盛りください」というとこの写真くらいになる。7tユニック一杯。
買った、買った。長崎市の路面電車の枕木を買い占めた。7tユニックをレンタルし、70本超の枕木を里山に運び入れる。これで森の中のテラスをリニューアルする。
ご参集いただいた皆様方に深くお礼申し上げます。総合指揮者はthomさん。
というわけで里山物語は、常軌を逸したヘビーデューティ一カラーで突き進んでいきます。
旧ロシアの帝都サンクト=ペテルブルクは広大な沼の埋め立てによって出現した街だ。帝都を訪れる者は石を持参し埋め立てる。こうして徐々に美しい都が姿を現した。
デッキも左様。作業で汗をかいて飲む。飲んでまた運ぶ。これが遊びだ。幼い頃、秘密基地をつくって遊んだ。あれだな。自分の立つ空間がみるみる変わっていく。飲む。
ストレスをとる方法をお教えしよう。二つある。一つが脱力すること。もう一つが汗をかくこと。脱力だけしてもとれない疲れがある。枕木を運び、くらくらして焚き火の周りに座り込み、飲む。世俗の芥が浄化されていく。木立で鳥が鳴き、木洩れ日が差す。もうすぐ日暮れだ。
平田オリザ
『演劇入門』平田オリザ著を読む。若い頃、こんな本に出会っていたら、戯曲書きにはまっていたでしょう。読んでいてワクワクするハウツー本。ここまで公開していいのかと思うほど細かいテクニックが述べられています。
私はハウツー本が大好きです。小説より、私が観ている世界を理解するための技術本の方が十倍面白いわけでして。思い返してみますと、感動に打ち震える本に一冊で出会えたら、その後には十冊の優秀なハウツー本を探すような習性を私は持っているようです。自分がやってみたいと思うわけですね。
演劇は、私にとって今まで観るだけのものでした。小説とは決定的に言葉の使い方が違うと。で、この本には、その秘密が書かれていました。こんな本が700円で売られているなんていい時代になったと思います。戯曲を書く機会が巡ってこないかなと、心の片隅で思い始めている私です。
2007_02_18バリー=リンドン
「世界で一番お勧めの映画は?」と問われたら『バリー=リンドン』と答えています。もちろん他にも好きな作品はありますが、この作品はその質の高さと知名度のギャップが私が知る限り最も大きいく惜しまれますので、機会あるごとに紹介しています。
上映時間が長いためマスメディア上での、出会いは極限られています。敬愛するスタンリー=キュブリック監督の作品。私は学生の頃に映画館で観て、心奪われました。しかしこの作品にはそれ以来接していませんでした、今日まで。
再度観た感想。すばらしい。ハリウッド映画的リズムではありませんので、冒頭は戸惑われるかも知れませんが、描き出される画面の美しさに脱帽し魅了されていきます。ヨーロッパの精神性の高い田園風景、野外の逆光に浮かぶポートレイト、蝋燭の灯に浮かび上がる人々。この映画はどこまでも絵画的です。
あなたが映画好きで、知的なものに興味があって、月に1度ぐらいは4時間ぐらい余暇の時間がとれる人ならば。それでDVDが観れて、千円ちょっとのお金がある人ならば。観なくてはあなたの人生がもったいないことをしています。
2007_02_17新書
訳あって、このところ新書を読んでます。ネット上で評判のいいものをリストアップした後、取り寄せて読むという手順。超流し読みですが感想をご紹介。
焚き火
「焚き火」アップ。
2007_02_07あげ足政治
うんざりします、あげ足政治。日本の政治課題はそんなにないのでしょうか?バカかいな野党と思っています。私は安倍政権の支持者ではありませんが、そう思ってしまいます。やめてほしい。中央政界抜きで行政が今進んでいる状態。ね、誠に残念ですが、官僚がしっかりしとかないと、この国は立ち行かないのです。下手に上級国家公務員の待遇落として、ここにもおバカが集まったらこの国はアウト(苦笑)。
2007_02_05ハンス・J・ウェグナー氏逝去
訃報です。20世紀を代表する家具デザイナーであるハンス・J・ウェグナー氏が1月26日に92歳で亡くなりました。わが家では氏のYチェアーを愛用していますが、本当に使い勝手のいい快適な椅子です。
2007_02_01里山間伐
朝日が木々の間をすり抜けた光の筋となって、私たちの元に降りてくる。メディアが伝える言葉狩りや、タレコミ文化が及ばぬこのささやかな里で、私は私を遙かに超えたものの中にある安定とやすらぎを感じイスにかける。双眼鏡を取り出す。鳥の鳴き声を追う。頭上の枝葉を見上げながら、深呼吸をする。
まず木に許しを請うて、チェンソーを入れる。躰の中にアドレナリンが吹き出していくのがわかる。エンジンを止めてまたビール。うまい。