2013年8月
2013_08_27
驚くほどうまいギョウザ
折尾の「餃子兄弟」
thomさんにご案内いただいた。
場所は北九州の折尾。駅を出てすぐ右側に広がる酒場。
その中の「餃子兄弟」。いい。味がある店構え。
thomさんが水餃子をオーダー。私「?」
食べてみて驚いた。ものすごくうまい。生涯食した餃子の第一等。焼酎を煽る。目の前で皮からつくられ、供される。
店内は狭い。構わぬ。激烈にうまい。
北九州には実に人間臭い店が愉快だ。この街を訪ね、こぎれいな店で飲む貧相さ。土地を感じたければ、こうした店を訪ねるべし。
小倉の旦過市場
というわけで、もう一軒だけご紹介。私のお気に入りの旦過市場だ。そこにあるカクウチ屋「あかかべ」。よろし。
翻訳の大時代的匂い
とても読めたもんじゃない
サリンジャーの『バナナフィッシュにうってつけの日』を読み返した。翻訳は野崎孝。1974年の訳とある。 読んでみて驚いた。とても読めたもんじゃない。なんというかデコボコしている。今からみるとひどい翻訳だと私でも思う。たとえばこんな訳。-
「あんた、どうして電話をくれなかったんですよ。あたしはもう心配で心配で」
「ねえ、お母様、そんなにどならないで。お母様の声、すごくきれいに聞こえてるのよ」
おいしいところから腐っていく
これは翻訳家が悪いというわけでもない。時代に置いていかれた感覚に私たちが耐えられなくなっているのだ。 開高健がこんなことを言っていたと思う。「ライオンは倒した獲物の内蔵から食う。一番うまいからだ。けれどそこが一番腐りやすい。文章もそうだ。形容句が一番おもしろい。けれど一番先に陳腐になっていく」
もはや1970年代の言葉は同時代性を持って感じられなくなっているようだ。時代が疾走している。
ホテル考
リーガロイヤルホテル小倉
シングルオーダーでこれ
ゆったりとしたソファーとデスク
バスルームもゆったり
朝食はゴージャスなラウンジでバイキング
東横イン
狭い空間にダブルベッド
ベットに隣接してデスク
コンパクトなユニットバス
朝食はおにぎりと簡単な惣菜と味噌汁などのバイキング
見た目は前者がはるかにいい。けれどビジネスで使う目で見ると、両者の価値は逆転する。仕事では、仕事後に飲食をして、すぐに眠りについて、朝方起きてミネラルウォーターを飲んで、調べものして、朝食は昨夜の飲食もあってあまり入らない。したがって無益な部屋の広さは必要ない。
ミネラルウォーターは東横インだけが無料。
インターネットは、リーガロイヤルはフロントに願い出をして30分だけ無料。東横インはフリーで無料。
朝食も東横インの量で充分。
シャツのアイロンサービスも、リーガロイヤルが400円、東横インが100円。
宿泊代はリーガロイヤルが13,000円、東横インが5,500円。職場からは規定額が支払われるだけで後は当然手出しだ。利用目的に合わない宿はパス。
品川プリンスホテル イーストタワー
お粗末だったホテルの筆頭がここ。東京品川。古い、狭い、隣室の音が聞こえるの3拍子そろっている。そのため室内の写真さえ取っていない。一泊10,000円程度。それでなおかつ口コミがいい。だから検索して先頭あたりに出る情報は信頼性が薄い。長所もある。駅が近い。朝食がすばらしい。
旅のためのパッキング
今年度やたらと出張が多い。自ずから旅のノウハウを考える。ここにその一部を書き留めてみよう。
最初に旅の荷物について。
下が私が夏場に1週間程度出かけるときの荷物だ。キャンプと一緒で物欲地獄に初期は浸かる。しかる後、フットワークを最優先するようになる。旅は動けてなんぼだ。荷物を精選。
一番右がバック。縦35×横47×幅10センチのDOUGLAS社のものだ。もう25年ほど使っている。丈夫。このバックに、左側に写るすべての荷物を詰め込む。直接会議場に出向いてもイスの横に置いておけるし、飛行機の中でも問題ない。
左の赤い圧縮袋には、下着2セットを入れ絞る。ホテルで毎日洗濯し干す。その上には、ディップ、薬、そして洗濯ハサミをそれぞれビニール袋に。洗濯バサミはとても重宝する。
中央のグレイの袋には、ワイシャツ、白ポロシャツを納める。ワイシャツはホテルのクリーニングサービスに出してバリッとしたものを毎日着用する。
その右に黒いシステム手帳。これを普段からどう使いこなしているかが整理の要点。その上に、時間があるときに読む文庫本と、テキスト打ちできるポメラ。実はこの文章もそうして打ったものだ。
旅慣れた圧縮技術については高城剛著『LIFE PACKING』に詳しい。お勧めする。けれど重々承知していなけらばならないのは、どれほど圧縮して容積を小さくしても、重量は圧縮されないということ。ここを往々にして忘れる。ご注意。
雲仙噴火災害の跡地に呼ばる男
「昨夜、大浦教授、帰省中の「まつを」、料理係り「美和」と四人で拙宅にて宴会、また楽しからずや。大浦教授は東京の人で現代美術の泰斗、島原にて目下鋭意製作中。まぁなにを話したかは覚えていないがきっと愉快だったに違いない。」 これは散人さんのコメント。誠にお世話になりました。
大浦氏は現代日本美術展毎日現代美術大賞等を受賞した現代美術作家、グラフィックデザイナーにして武蔵野美術大学共通絵画教授。'92年8月から、夏になると島原に来て雲仙普賢岳災害被災地を舞台に活動をなさっている。
「いやあ、今回も最初は草むしりから」とのこと。
「どうして島原に20年間も通い続けてるんですか?」
「なんかね、呼ばれているとしか思えないんですよね」
出た(笑)。そりゃあ、今後も毎年お出でになるだろう。
大浦氏へのインタビューはこちらで聴けます。
長崎市都市景観賞
長崎市都市景観賞の作品募集が始まった。2年に1度の募集だ。詳しくはこちら。建築に興味のある人にはたまらない賞。写真は第一回の受賞建築物。
島原にもまち並景観賞というのがあるのだけれど、この受賞一覧ホームページがない。観光都市を標榜する島原の行政意識の低さが残念。
水撒き
こう暑いと朝夕の水撒きも大変だ。高齢の母にとっては応えるだろう。ということで散水チューブ(クリック)を庭に這わせた。これで水道をひねるだけで庭への散水ができる。大分楽になることだろう。灌水ホースというのもある。
お盆
一時間に一本の列車が人を乗せ、闇から現れ闇に消える。遠くから爆竹の音が聞こえる。
やがて掛け声が近づき、祖先を乗せた精霊船がその灯を表す。
島原独特の切子灯篭だ。リリカルな姿を愛している。今年は通り過ぎて行った精霊船の数が少なかった。徐々にこの行事は地方では萎みはじめている。
仏間に家族で集い、亡き祖父母と父の思い出を語り、子どもたちに伝える。
虹のつけね
小学生のころのことだ。学校から帰ろうと、校門を出た私たちが見たのは、くっきりと鮮やかで太い見事な虹だった。その虹の大地とのつけねが、なんと50mぐらい先にあった。すごい。私たちは虹に浸かろうと、つけねに向かって走った。けれど走っても走っても、虹のつけねは遠ざかっていくのだった。今でも鮮やかに憶えている光景だ。
古代ギリシア神話の虹の女神のことをイリスという。イリスは天界とこの地上を結んでくれる神だ。
天界とこの地上を結ぶモノは「煙」
洋の東西を問わず、「天界とこの地上を結」ぶモノは「煙」。お線香は、あの世とこの世を繋ぐ道具。煙は架け橋。映画「メリー・ポピンズ」でも、煙の階段で天界へと昇る。東南アジアでは、竹細工のお供え物を燃やす煙が、供物をあの世へと送る。いや、贈る。
魂魄、という。魂には二種類あり、「魂」は天上界へ昇り、「魄」は地へ帰る。魄の「白」は、白骨の意味で、魂の「云」は、「雲」のこと、つまり、煙となって天上界へ昇るの意。
お墓参りでは、煙の出ないお線香は、使っちゃいけません。「意味」がない。それと、煙の出ないお線香の原料は、木炭なので、温度が高く、危険もある。
煙が、この世 → あの世、の架け橋ならば、虹は、あの世 → この世、への架け橋。 s
熱い夏 モヘンジョ=ダロ
モヘンジョ=ダロ。訳すると「死者の丘」。この古代インダス文明の都の跡地には、争いのあとがない。戦争に寄らずしてこの都は放棄されたのだ。原因は気候変動であったとされる。暑くなりすぎたのだ。古代メソポタミア文明、エジプト文明跡地の風景を思い起こしていただいても荒涼たる風景だ。
なお、日本の最高気温は1945年8月6日広島、8月9日長崎6,000度である。黙祷。
小劇場
東京墨田区「blackA」。岸田國士の『頼母しき求縁』と『クロニック・モノロゲ』。小さな倉庫に30人ほどの観客、その客の間で展開される演劇。肉体性に説得されるひととき。愉快。
東京の緑管理のすばらしさ
近年東京に行くたび、樹木管理のすばらしさに感心する。
長崎では樹木の剪定がちんちくりんなまでにカットされる。街路樹は日差しをさえぎり歩行者を保護するためにある。東京ではそのように管理されているところが多い。
たぶん地方では電線が地下埋設でないために、ああいったちんちくりんカットになっているところもあろう。けれどそういう条件でないところの樹木をみても、ひどい状況のところがあまりに多い。業者のセンスがわるいのか、行政の指示がわるいのか。どちらなのだろう。
ツツジの剪定の見事なお見本。これは皇居内のツツジ。通路を歩く人影と比べていただくとその低さがお分かりいただけるだろう。長崎の公園などでは、ツツジの高さが高すぎる。
これは治安・防犯の問題。公園や学校など広い緑地を持つところでは、視野が抜けていることが大切。過去悲惨な事件が発生した長崎の立山公園では、いまだにツツジが高い状態のままに管理されている。
皇居に入る
地方にお住まいの方は、皇居に一般人が入れるものだと思っていらっしゃらない方が多いと思う。
この堀の内に入る。
巨大な石垣。歩く人影と比較されたい。
これが江戸城天守閣がそびえたっていた跡。
芝生のところに広大な江戸城執務箇所および大奥があった。
皇居の中に造られた雑木林。天皇のご意向でつくられたもの。
ここが園遊会で使われる場所だと思われる。
厳重な警戒の中に、ぽっかりと佇む空間。猪瀬直樹の著書『ミカドの肖像』の出だしの以下の引用を思い浮かべた。
「いかにもこの都市は中心をもっている。だが、その中心は空虚である」- ロラン・バルト
これらは皇居東御苑といい、一般に公開されている。予約などの手続きなどは不要。詳しくはこちらを。
トマトごはん
トマトを一個入れてご飯をリゾットにする。コンソメ一個、オリーブオイル少々。うまい。