お気に入りの宿
私のお気に入りの旅館の一つはここ、旅館「やひろ」。なぜって? 私が旅館に求めるものがすべてあるからです。
11月中旬。旅館は紅葉の中にありました。そう、紅葉を観に行くのではなく、紅葉に浸かりに行くのです。
「やひろ」は九重町の清流 町田川の河岸にひっそりとあります。家族経営ですので小さな規模のお宿。ご家族の温かさが伝わってきます。お店の方によりますと、現在予約できる部屋は3室。
ここにないものは、辺りの喧騒、団体客の混沌、カラオケ、ゲームコーナー。
玄関のロビー。内装が凝りまくっているでしょう? これは御主人の手によるもののようです。凝らないではおれない方のようで、既製品の派手さはないのですが、隅々まで意匠が込められています。
今回宿泊した部屋。ベッドスペースの手前は和室になっています。
今回の宿泊代は1人1万1千円。リーズナブルですよね。
こちらが大浴場。太い梁が張り巡らされた別棟にあります。これも御主人の嗜好によるものでしょう。驚きます。こうなりますと実業と趣味がいい意味で混沌としています。
大浴場の湯船。窓の外には清流。これ以外にも家族風呂が2つ別棟にあります。私は4回温泉に浸かりましたが、宿泊客が少ないので全て貸切状態でした。いいんです。
6時半から夕食をいただきました。料理の品数の多いことに驚かされます。
「摘み草の宿」が謳われているとおり、その季節の山草を使った繊細な料理が中心。これに刺身やステーキ、ヤマメの塩焼きなども付きます。私が一番おいしかったのは山草の天ぷら。いいんです。
部屋のあった2階の空中回廊から見た外。麦わら屋根が見えますね。家族風呂棟は麦わら屋根の建物です。
朝ごはん。正しい日本の朝ごはん。いいんです。
「あのね、ネットでの予約はとってないんよ。3部屋でしょう。だから知った人が来ていただければいいかなって」
つまり楽天だとかのネット宿検索には参加していないということなのでしょう。それとこの当時は「生竜温泉」という独自の温泉名を名のられ、ネットの検索エンジンに浮かび上がることも稀。そうした事情とご家族のあたたかさもあって、極上の静かさと、豊かさのサンクチュアリが育まれているのでしょう。
やひろ再び
旅館やひろと2020年7月豪雨災害
宝仙寺温泉 旅館やひろ。豪雨水害で営業が停止したのは2020年のことでした。
2020年7月に大分県内を襲った豪雨。土砂崩れや河川の氾濫が各地で発生し、道路や住宅などに大きな被害をもたらしました。
「旅館やひろ」。家族5人は避難して助かったものの、自宅と温泉施設は基礎部分が流され、解体を余儀なくされました。
出典:BSオンライン2023年2月13日
復活
「やひろさんが営業を再開されてますよ。ホームページが新設されてます」
家人がそう教えてくれたのは今年に入ってのこと。しばしば「つみ草料理」が再開されないかと確認していた私を知っていて教えてくれたのです。
参上しました

豪雨水害から復活した旅館やひろ。お祝いのお酒を持って宿泊にあがりました。
ご高齢のおばさんがおっしゃるに「合掌造りの棟は地盤から崩れ落ちて。こちらの本館にも水が流れ込んで、もう大変でした」
変容

これが1995年に合掌造りに宿泊した時の様子。この合掌造りはもうありません。
この旅館を知ったのは、友人俵山さんとさんざんこの地の温泉を巡りキャンプしていて、合掌造りの威容を目にしたことから始まります。

合掌造りが流された跡地にはビジネス棟が建てられ、周辺の職場に派遣された方々が宿泊されてました。写真左の黒っぽい建物がビジネス棟です。

激動の人生を垣間見た思い。
貸し切り状態でご対応
ビジネス棟の方々とは別に、本館に用意していただいたお部屋。

本館のエントランス。貸し切り状態です。

エントランスに飾られた写真。ご主人は合掌造りや本館をつくりあげられたDIYの大家であることが分かります。本館に込められた骨太のテイストに憧れます。
24時間入浴可能な家族風呂は残っていました。ここも貸し切り状態。
ビジネス棟にも男女別の大浴場が用意されています。

美味しく用意していただいた「つみ草料理」を頂きました。
写真以外にも、そば粉のグラタン、山芋を擦った茶碗蒸し風、あゆの塩焼き。
朝夕とも本館食堂も私たち夫婦が貸し切りでした。
経営形態が変わり複雑な心境もありましたが、それはともあれ命あっての物種。
元気、元気が一番。元気で生きとかんばですよね。
丁重なおもてなしが沁みました。
本館宿泊、つみ草料理の2食付き 一人15,800円。ここのおばさんはネット予約が苦手なようで、その手のページを止めてらっしゃいます(^_^;)。参考までに料金を書いておきますね。家族経営テイスト、手作りテイストがお好きな方にはおススメ。電話すればご対応いただけますよ。
2025.11.12
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生きてることを楽しもう。座右の銘は荘子の「逍遙遊」。長崎県。


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