卒業式 式辞
卒業の日を迎えた皆さん、おめでとうございます。
そして、ご家族の皆様方に心からお祝いを申し上げます。
また、〇〇様、〇〇様はじめ多数のご来賓のご臨席を賜りましたことは、本校の光栄とするところであり、教職員を代表して心から御礼申し上げます。
卒業生の皆さん。まず、あなたの五感を研ぎ澄まし、この場に満ちる輝ける気配を浴びてください。あなたの呼吸。横に座る友の体温。級友たちの緊張感。授業、学校行事、部活動と、共に努力を重ねてきた者たちの張り詰めた気配。君たちを見つめる下級生の眼差し。教育に当たられた先生方の思い。新しい同胞を迎え入れる同窓生の皆様方の歓び。来賓の皆様方の門出への祝福。
そして、なにより君たちの成長を願い続けてこられた御家庭の皆様方の溢れんばかりの歓び。どうか、あなたの感覚を研ぎ澄まし、この聖なる空間に溢れる歓びを、充分に浴びてください。今日は、そのための日です。
私は、人類が歴史的に成長してきていると信じる者の一人です。「最近の若い者は」という批判的な言葉をときおり耳にします。それは間違いです。
最近の若者はすばらしい。東日本大震災に多くの若者が心痛めボランティアに出向きました。君たちは私たちの世代よりも、友への配慮は篤いですし、異文化の受容力や、環境問題への関心も格段に高い。君たちの世代は進化してきています。
けれど時として「私は何のために生きているのだろう」と思いを巡らすときがあるかもしれません。こうした自分自身の存在意義への問いこそが、高みを羨望する成長意欲の根源そのもの。その激しい思いが、あなたを人間として開花させてくれるでしょう。
人生を生き抜く術を三つ紹介します。
一、自分を探すな、自分を作れ。
悩むヒマがあったら、自分を作り鍛えよ。自分というものは、どこか遠いところに落ちているものではない。その手で作り上げるものです。
二、大きな視野の中で考えよ。
スペインが誇る世界遺産サグラダ=ファミリアをつくる仕事も、近視眼的に見ればただ重い石材を積み上げる苦役になります。人生の意味は、君が「何を見つめて生きたか」によって決まります。
三、笑顔を忘れず、人を助けよ。
かつて話した「6次の隔たり」を覚えていますか。私たちは6人を介すれば、世界中の人々と繋がり合える。これを活かすには、笑顔をもって自分を開いていること。そして周りの人を助けなさい。自分のことだけに終始する人生では、6次の隔たりの力を得ることはできません。
今一度、繰り返します。
一、自分を探すな、自分をつくれ。
二、大きな視野で考えよ。
三、笑顔を忘れず、人を助けよ。
こうして、見事に幸福になってください。
ご家族の皆様方、重ねてお祝い申し上げます。普段、不平や小言を言い合っていても、歩んできた道を節目で振り返った時にこそ、成長の素晴らしさは分かります。
卒業生の皆さん、こんな情景を思い描いてください。
あなたが生まれてきたとき、産みの苦しみの涙を流された直後にもかかわらず、小さなあなたを暖かく抱きしめた満面の笑みがありました。あなたが幼いとき、その口元に小さなスプーンで離乳食を運んで下さっていた手がありました。
本日の喜びは皆さんの努力の結果であると同時に、ご家族とまわりの方々の支えの賜です。「ありがとうございます」。今日はその気持ちを、ご家族に伝える日でもあります。
「〇〇高大好き」と言ってくれる皆さん、「長崎大好き」と言ってくれる皆さん。皆さんと出会えたことを嬉しく思います。
これからは、〇〇高同窓生として、誇り高き歴史の、熱き命脈となって頂くことを期待します。名残は尽きませんが、皆さんの、今後益々の活躍と幸福を心より願い、式辞といたします。