室内
Index
- 半DIYリノベーション
- 爆買いする楽しみ
- 眺望と二重窓
- システムキッチン
- IHクッキングヒーター
- Yチェア
- ソファー
- コタツ
- 照明デザイン
- オフィス
- 本棚
- 洗面コーナー
- トイレ
- シャワー
- 玄関の間接照明
- 北欧デザイン史
- 初めて見た日のカオス
半DIYリノベーション
実家は設計士が設計図を引いてつくった建物。ですから自分の手で改造する気になれません。多くのお宅は工務店や大工さんがつくたものですから、同じ思いでしょう。プロがつくった建物は素人の安易な介入を拒んでいる立ち姿をしています。
自分で設計図を描き、多くを自身でリペアし、そして施主支給
一方、私の住まいは中古マンションを購入し、Adobe Illustratorを使って自分で設計図を描き、多くを自身でリペアし、できない部分を施主支給で大工さんに施工してもらいました。ですから今でも自身で作り直し手を入れていくことが当たり前な感覚でいます。
無茶苦茶楽しい
半DIYリノベーションをやってみての感想。
結論から書きますと、とても楽しいものでした。どのくらい楽しいかといいますと、こんな楽しいことを人には譲れないと思うほどに。巨大なプラモデルを組み立てているような感じとでも言っておきましょう。
ローンなし
そんなこんなで、わが家は住宅ローンは利用しませんでした。そのコツ。
若い頃に貯金をする。格安の中古マンションを一括購入。自分でできない躯体(壁除去など)は個人の大工さんに依頼。施主支給など、ぼちぼち自分でできることは自分でやる。以上。
これやってなかったら、数千万円の上乗せ資金が必要だったでしょう。ローンを背負い生涯設計が変わっていたでしょう。
既製服なんか着たくない
それに、既製品の服ばかり着たいって思いますか? 自分にジャストフィットする空間をつくりたいと思いませんか? それを新築の設計でできると思いますか? 皆さん、飼いなれた消費者になってはいけません。あなたの人生はあなたのものです。そのためには学びましょう。
またこの過程で学んだ様々なスキルで、以後も家修復ができるようになります。人生は学び。学びは楽し。
爆買いする楽しみ
一生で一番買い物をしました。雨あられほど
家づくりの時ほど大量に品物を購入することは生涯で他にありません。これでもかというほど買いますので、物欲が大いに満たされます。例えば、コンセントカバーやトイレットペーパーホルダーから照明器具、漆喰の種類に至るまで自分で選んでいくときの楽しさ。
想像以上のテイストの違った製品があります
私がよくやっていたのは「部材名 デザイン」と入力した検索です。 コンセントカバーでもこれだけの商品があるのですよ。自分の既知世界がいかに偏狭であるかを思い知らされます。それらを選定してはガンガン購入していきます。
工務店にやってもらうと、いくつかの部材や間取りの検討はありますが限られた感じです。といいますか条件を伝え依頼した後は、基本的に口出ししない方がいい。デザイナーなどの才能を最大に発揮してもらうというのはそういうことだと思っています。
爆買いの楽しみを手放すなんてもったいない
そんなに大量なアイテムを選定するのならば、時間がかかるじゃないかとおっしゃる方がいるでしょう。そのとおり。ニンマリと相好を崩して長いこと過ごすことができます。
「そんな詰めていく時間はない」とおっしゃる方も多いでしょう。
そうなんですよね。人生ってなんでしょうね。大きな買い物は楽しいわけで、そのために時間が取れない私たちの人生ってなんでしょうね。何かがおかしいと思いませんか。自分の頭で考えることのできない現代人の時間の組み込まれ方、そして、自分の頭で考えようとしない習性になった現代人の思考法。人生ってなんでしょうね。そこから一歩抜け出す人生が楽しいじゃないですか。
眺望と二重窓
眺めのいいグラスハウス
わが家は四側面のうち二側面が広いガラス張りのグラスハウス。
眺望が気に入って、ここの購入を決めたと言っていいでしょう。ふと振り合えると眼下に街が広がっています。夜は長崎の街の灯を堪能。とりわけ移り変わる日々の夕暮れには魅了されています。
グラスハウスは寒暖の影響を受けやすい
けれど冬場は寒い。その寒さには尋常ならぬものがあって、一室が機能不全に陥っていました。これを和らげんとネット上に散る様々な知恵を集め、冬を越してきていた実態があります。プチプチも張りましたとも。ガラス張りの家って特別な設備を設けないと半端ない寒暖変化の影響を受けます。かのフィリップ=ジョンソンのグラスハウスも、隣接するブリックハウスの地下に設置された空調システムがあってはじめて成立しています。
内窓を設置
数年後、すべての窓に内窓を取り付けました。今回の設置は業者さんにお願いしました。隙間風があっては一大事。
で、どうか。結論から書きますといい製品です。ベストバイ。あたたかい。明らかに効果があります。第一に隙間風が激減します。冬場もエアコン一つで暖房できます。昼間はエアコンなしでOK。
さらに静寂さが違います。夏のセミの鳴き声も、道路を行き交う車の音も入ってきません。朝、ブラインドを降ろしていると、雨が降っていることに気付きません。ライフスタイルが変わります。
具体的には↓にリンクした「雪の日と内窓」や「内窓の取り付け」の様子をご覧ください。
なお私が参考にしたサイトはこちら。
システムキッチン
システムキッチンの上側の棚って使いにくいよね
上に取り付けてあってデッドスペースになっているのが、一般のシステムキッチンの上部棚。もったいないよね。
棚を下げて取り付けると便利ですよ
わが家は通常よりもシンクの上の棚をだいぶん低く取り付けています。目線の位置が棚の下段になるくらい。こうして普段使いの食器の収納スペースに。物品の出し入れが楽ですよ。そのために台を手前に出して設置
これを実現するために、シンクの付いたシステムキッチン、つまり台の方を、上部棚よりも200mm手前に出して設置しました。こうしますと、シンクも支障なく使えます。
使い勝手がいい200mmの棚
できた奥行き200mm・高さ180mmの棚に調味料などを置けて重宝しています。ここは生活スペースから常に見えていますので、バランスがよくて使い勝手のいい配置に留意。スポンジホルダーや棚上の瓶も変更しすっきり。
水栓の取り替え
わが家はリビングキッチンで常にキッチンはむき出しですから部屋の意匠に大きく関わっています。ですからアレッシィのヤカン(写真右)も少々お高いのですが、常に室内にその姿を見せ続けるオブジェとして購入。
水栓もオブジェっぽいアレッシィのヤカンと響き合うものにしたら楽しいだろうな。ということでSANEIのEDDIESシリーズの水栓(写真左)にDIYで取り替え。建築家エドワード鈴木によるデザインです。
IHクッキングヒーター
工事費こみこみで6万円
IHクッキングヒーターを導入しました。今回も半DIY。配線費用2万円、ガス元栓止費用約3千円。これに本体34,495円を加えて、総額約6万円。
建材は驚くほど安く入手できる
建材に関わる電化製品にはしばしば見られることですが、ネット上の製品価格は目を疑う程安い。わが家のエアコンも、ガス湯沸かし器も、ネットで取り寄せ、設置してもらいました。近所には商品展示店舗を構えない町の小さな電気屋さんが点々とあって大切な存在です。
今回のIHクッキングヒーターも店頭価格では15万から20万ほどします。しかしパナソニックKZ-F32AKは32,580円とスマホの半額ほどで買えてしまいます。 サイズも確認しました。設置できるようです。
その過程
セッティング方法についてネットを調べると、先行者が記録を公開してありました。
これを参考に次のように進めていきました。
- 九電長崎営業所にメールで問い合わせ。その後折り返しの電話がかかってきて丁寧な応答。その要点は次のとおり。
- 50Aのままでいけるかもしれない。ブレーカーが頻繁に落ちたら60Aに変える方法もある。
- 九電は変更するか否かの下見は実施していない。
- 50→60Aに変更した場合、基本料金が現在の1458円から291円上がる。また一般的にIHクッキングヒーター設置によって電力料金は月1,000円ほど上がる。この分はガス代も安くなると思われる。
- システムキッチンには規格だから合うはず。
- ネットでIH取り寄せ(注文した翌日夜に到着)。
- 地元の電気工事店に見積もり取り。
「ネットで取り寄せたIHクッキングヒーターの配線はなさっていただけますか? その際に50Aから60Aに変えたいと思います。見積もりをお願いしたいのです」 - 電気工事店が来訪。屋内を見て、「50Aのままいける」。
- 工事日程を決めて、事前にガス会社に依頼しガス台元栓止め。
- 電気工事店による配線工事。
- 自分でIHクッキングヒーター本体を設置。なんてことありません。機器の設置方法は各メーカーがネット公開してますので、事前に見ておきましょう。前面の下スペースがぽかんと空くので前パネルの取り寄せが必要です。
Yチェア
専門家が選んだ椅子
『この椅子が一番! 椅子に関わる専門家100人が本音で選んだシーン別ベストな椅子とは…』という本が出版されてます。掲載された椅子250脚。 そんな数多の椅子の中で、「あなたが思う名作椅子」及び「どこに置いても絵になる椅子」1位、「日々の暮らしの中で、ごくふつうに使いたい椅子」2位、「あらゆる椅子の中で、座りやすい椅子」3位という評価を得たのがYチェア。わが家愛用の椅子です。ちょっとうれしい。
一脚ずつ増やして
結婚とほぼ同時に2脚を購入し、子どもが育つたびに1脚、また1脚と買い足していきました。そして十数年後、今度は1脚、また1脚とリビングから別の部屋に移っていきました。
ハンス J. ウェグナーの名作。確かに座り心地がよく、寛がせてくれる椅子です。
ペーパーコードの張替
経験的に15年に1度座面コードの張替が必要な状態になってきます。それはそれでおもしろくDIYでやっています。詳しくはこちら。
ソファー
ソファーは低く
狭い住居。そんな場合は、低めの家具を配すること。これ、部屋を広く見せる基本。
ソファーは背もたれが低いものを採用しています。狭小な部屋に背もたれの高いタイプを持ち込みますと、視線を遮りうっとうしさが出ます。また、横に面積の広い黒を置くことで、空間が安定してくるように感じています。
テーブルは極小コタツ
その前の白いテーブルは実はコタツ。気に入ったものがなく、購入するまで数年かかりました。探していたのは、作りがしっかりした極小サイズのコタツ。一辺600mm。多くのお宅ではこれより大きいサイズを置かれて、その上は物置化して散らかっていることが多い。じゃあそうならないように極小コタツを置いて、室内の色相を絞り込み、すっきりさせようと。
コタツ
極小コタツにでっかい布団、そしてスポットライト
極小コタツ。これに大きめのコタツ布団を付け、冬場になると各辺にたっぷりと広がる布団に身を寄せてぬくぬくと過ごしています。現在のコーディネイトを思いつくまで、わが家には長いことコタツを置いていませんでした。やってみたところ極楽。コタツにスポットライトの照明を当て、家族が自然と集まる場にしています。
照明デザイン
自分で取り寄せる施主支給
照明は自身で照明デザインして図面に落とし、ライト類はネットで取り寄せ、業者に設置してもらいました。照明は光度や特性が掴みづらくて難しく、やたらと調べたことを憶えています。そう照明は特に調べられたがいいですよ。
複数の照明器具で多灯分散を
主眼は、一部屋に複数の照明器具を取り入れる多灯分散。一器具での全体照明は避けました。室内設計細部に投資するより、照明に凝る方がコスパはとても高くなります。たとえばダイニングキッチン兼リビング一室だけで、約10個の照明。一つ当たりの照度は押さえ、食卓にペンダントライト、コタツにスポットライトを、と必要な箇所に光を足しています。
オフィス
思考のためのアタラクシア
かつて我が家に拡散していたパソコン類、書物、絵画や書の道具、各種工具をここに集中させオフィス・書斎化しました。
わが家の展望所的場所に位置し、2方向がガラス面で突き出しています。防音・断熱のための2重窓処理でできた思考のためのアタラクシア。
家族の進化と家屋の変容
ここは子どもたちが使っていた部屋をリレイアウトしたものです。核家族の場合、家は夫婦二人の住まいになりますので、こういったリノベーションを考慮しておく必要がありますね。
本棚
本は各箇所にバラして収納
書物が増えてきては処分しています。けれど増える。狭小なわが家にはスペースなし。そこでオフィスだけでなく、和室、トイレ、脱衣所など空きのある空間にバラしては本を置いてます。
今回も食器棚上の空きスペースに本棚を。Illustratorで図面を描いて、ホームセンターで材料をカットしてもらい、組んで製作。経費は1万円ぐらい。
洗面コーナー
経費5万円で完全DIY
完全DIYで、アールデコ風の洗面コーナーにリノベーションしました。デザインの基礎としたのは夫婦で宿泊した徳島のリゾートホテル「モアナ・コースト」の洗面コーナーです。
工期半月・経費5万円。デザイナーとしての威信をかけた設計と施工(笑)。正直な話、これまでのDIYの中で最も難しかった事案。タイル張り、そして上下水道の配管ってこれまでやったことありませんでしたし、水まわりってミスすると目も当てられない状況になります。
その工程はこちら。
トイレ
トイレをポップに
壁には漆喰風のペイントを施し、各種枠はブラックのラッカー、床は市松模様のクッションフロアへ。施工法はサイト上にたくさん載っています。最近は動画での解説が多くなってきましたので助かります。
歌舞伎役者の初代佐野川市松から始まる市松模様
市松模様。世界的には紀元前から存在し、日本でも古墳時代から認められている柄です。市松模様と呼ばれるようになったのは、18世紀中頃、歌舞伎役者の初代佐野川市松がこの柄の袴を用い人気を博してから。
これ以後のチェック柄と、それ以前あるいは他地域のチェック柄はテイストが異なります。市松模様はポップ。まるでウォホールの作品のようにポップです。
とまあ、そんなポップなテイストのトイレに変身。なお写真のブラックの部分が赤いならキュブリック・テイストになります。
シャワー
お風呂のタイルが剥離しました。ここはリフォームと行きたいところですが建築躯体の関係で困難。なにせ極小住宅なのです。
例によって施主支給
剥離した一方の全面のタイルを張り替えることに。その面のシャワーを施主支給し、プロの職人さんに施工してもらいました。家に手を入れる際に大きな影響を与えるのは、こうしたアイテムのセレクト。
ホワイトのタイル100mm角を黒目地で。シャワー水栓とバスルームラック。
sanwa TA03189
Foccoe バスルームラック
玄関の間接照明
マンションの玄関は窓がなく暗闇状態のところも多いかと思います。わが家もその一例。
そこで壁面を漆喰で塗り、間接照明を設置しています。光源はイケアで購入していたレードベリ LEDスティックライト。靴棚の上には肥前びいどろ作家の副島太郎氏の「陽花文様水差」を置いて、間接光を拡散させています。
北欧デザイン史
住環境を重視する北欧
北欧は厳しい冬を過ごすため、住環境を重視する文化が育ちました。あの北欧デザインの世界。雪の中、暖かい室内で長い時間を過ごすには、住居空間に手を加えていくこと自体が楽しみになるのでしょう。歳をとるにしたがい私も体感しつつあるところです。厳冬烈夏は室内が一番。
イギリスのアーツ&クラフツ運動 → ドイツのバウハウス → 北欧デザイン
では、いつから現在につながる北欧デザインの潮流が流れ始めたのでしょう。
そのためには、北欧には室内に閉じこもる時間が長いために高度に発達した伝統的手工業があったことを確認した後、話の舞台をイギリスに移す必要があります。19世紀イギリスでは産業革命による粗悪品への反感から、生活と芸術を一致させようとするアーツ&クラフツ運動がはじまりました。この芸術運動は20世紀ドイツのバウハウスへとつながります。やがて波は北欧に到達し、その機能性と伝統的な職人気質が融合して、シンプルでクラフト的な温かさをもつ北欧デザインが生まれました。
そしてアメリカへ
第二次世界大戦で焦土とならなかったアメリカに戦後大消費時代がやってきます。北欧はここにインテリア製品を輸出。これらはやがてミッドセンチュリーのトレンドの中に受け入れられていきました。
初めて見た日のカオス
上の写真は現在住まいとなっている空間に下見に来て、遭遇した日の様子です。
売り物件があると聞いて訪れた私は、息を呑みました。前住者の生活はカオスを呈していました。 倦怠感が澱のように溜まった空間。美意識の欠片もなく生活していた空間。
けれど躯体の配置や眺望には、私が求めていたものがありました。そこに留めこまれたモノを一掃した後に構築・展開できる空間の楽しさの予感を感じ、ここの購入を決めました。